全額経費算入による節税保険の見直しについて

 2月です。寒い日が続いていますが、我々税理士にとってのメインイベント・確定申告が刻一刻と迫っております。問い合わせや資料作成も増えてきています。バタバタしているとです。

 そんな中、今回のコラムでは、申告には直接の関係はないものの、中小企業の皆様に関係する内容を取り上げさせていただきます。
 今回のテーマは、生保各社が販売している、法人向け定期保険についてです。

 生保各社は、法人向けの保険商品として様々なサービスを提供していますが、2016年に日銀がマイナス金利を導入して以来、法人向けの主力商品であった各種の貯蓄型保険がそれまでのように高利回りを確保できなくなり、養老保険などの売り止めが相次いだそうです。生保各社は従来の商品に代えて、支払った保険料は全額を会社の損金に算入でき、10年後に解約するとそれまで支払った保険料の9割近くを返戻金として戻す形式のサービスを始めるようになりました。この場合、支払った保険料の額が会社の利益のまま残って法人税を課された場合よりも4割近く手元に残るケースもあったそうです。

 各社、似たような商品を発売し、顧客の争奪戦が激しくなりました。ですが、この形式の商品は10年程度での中途解約を前提に契約を結ぶ形式で、ある意味「不自然」と言えなくもありません。金融庁もこの点を問題視し、昨年末、生保各社に是正を求めたとのニュースがありました。

 とはいえ、返戻率が過剰な割合であることが問題視されているため、同種の保険商品そのものがなくなるわけではなく、各社も見直しを始めているところです。企業経営者の皆様にとっては、支払った保険料は損金計上されることから税金面でメリットがあり、解約時にはある程度まとまった額の現金が手元に戻ってくることから、もしもの時に備えての資金繰りにも活用できます。

 確定申告でも経費等を算定するうえで、様々な「保険」が関わってきます。保険の見直しや、各種保険を念頭に置いた資金計画相談にも当事務所では対応しておりますので、一度ご検討いただけませんでしょうか?

 

2019年02月01日